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9月9日(土)

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 人が歩く姿を見て感動したのは初めてだった。

 人が歩く姿を見て「感動」することって多分普通はないと思う。

 1歳2ヶ月で歩き始めたものの、生まれつき足が奇形で、市販の靴では歩くことが難しく、掛かりつけの病院に御願いされて靴を作られた。でもその靴では歩こうとするどころか、履かせようとしただけで泣き出し、履いてくれても突っ立ったままで動こうともしなかったらしい。かなりの高額な靴だっただけに両親の期待は大きかったと思う。それだけに歩いてくれなかったという現実の苦悩は計り知れない。

 たまたま知人の紹介がきっかけで「ムッシー」へ。
 病院で作られた靴が結果を出せなかったし、たかが靴屋、というところで大きな期待はあまりなかったような気がする。(勝手なボクの解釈なのでもし間違っていたらすみません!)

 だけど「子供のためになんとかなれば」という思いはとても伝わってきた。

 子供もまだ小さいだけに他の子と同じように人見知りをして最初はなかなか打ち解けれなかったけど、一緒に遊んでいるうちに笑顔が見え、仕舞いにはボクを父親と間違えてダッコをせがんできてくれた。

 たまたま子供の足に合うサイズの靴が、女の子っぽい色のものしかなかったんだけど(ちなみに男の子)、とりあえずきっと上手く歩いてくれるであろうと思った靴を履かせて見ることに。

 そしたら立ち上がった瞬間、何の違和感もなく、そして7ヶ月間も靴を履いていなかったことを感じさせないまま普通に歩いてた。そしてその後も履いてる靴を嫌がることなくそのままずっと、遊んでた。

 子供の無邪気に歩く姿をただただ唖然と見ていたご両親。その後ろ姿は本当に喜びで満ちていた。

 御主人が帰り際に

 「今日は感動しました。」

と、ボクの目を見つめてクールにそう言われた。ボクも思わず目頭が熱くなったけど、ここはカッコよく?!我慢我慢(笑)。

 今日届いた(写真の)靴で、歩き始めるこれからが本当に楽しみ。(中敷きの加工が必要なので、お渡しするのはもう少し先だけど。)

 防府市のKさんご夫妻、この日のことをきっと忘れることはないと思う。

 これからも子供とともに歩んでいきましょうね!

9月7日(木)

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 コンフォート、いわゆる健康で快適な靴って、イメージ的には幅がゆったりしてヒールがペッタンコの靴って感じがあると思う。でもそれだけじゃあない。

 足幅が細かったり、甲が薄く、踵(かかと)幅も細くて悩んでいる方も結構多い。最近はそんな足の方も増えている。

 ついにムッシーにもそんな人たちのための靴がやって来ました~!


 スイスのSchneider(シュナイダ-)


 以前からずっと取扱いたかった商品のひとつ。
 ラスト(木型)といい、革の質といい、パーツといいとにかくこだわっている。細身の靴を作らせたら右に出るものはないでしょうね。(この靴業界の中でも抜群に評価は高いですから。)というわけでとにかく完成度が高い。(残念ながら、値段も高い、、、笑)
 
 でもボクとしては、価格よりも、長い目で見た時に「やっぱり買ってよかった~。」って思ってもらえる靴を扱っていきたい。この靴は、間違いなくムッシーの定番になっていく。そして10年後もなくならないであろう靴。

 履かれて気に入った方だけが購入していただければ、それでボクは満足です。

9月3日(日)

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 マジックテープ。

 サンダルのマジックテープの付きが悪くなったので、修理を預かったときには、ベージュのマジックテープで交換をする予定だった。遠方ということもあり、後日送ることに。

 が、迂闊(うかつ)なことに店で在庫していたマジックテープではサイズが合わなく(幅が細く)、メーカーにも色々あたったけど、合うサイズのものがすぐに見つからず、早速お客様に連絡をしようと。

 が、これまた迂闊なことに、ムッシーが出来た頃から足を運んでくださってたお客様だったので、電話番号も聞いてたはずって勝手に思い込んでて、調べたら結局分からず、、、しかも修理の期間は1週間ということで預かっていたので色々悩んだ結果、黒のマジックテープを使うことに。&お詫びの手紙も添えて。

 今日届いたようで、先程メールが。
 思わず目が潤む内容で、ホッとした。

 「全くノープロブレム」とのことだった。今後のことも考えて、自宅と携帯の電話番号まで書いてくださってた。
 
 それから

 「行きつけの靴屋」ではおこがましいので、私にとっていつまでも「掛かりつけの靴屋」でいてくださいね。と。

 誤った時には素直に謝るべし(一応シャレのつもり、、笑)。
 ボクだってだれでも同じように誤りはある。

 「ムッシー」という靴屋は、多くのお客様で、支えられている。
 「ボク」という人間は、多くの会話やメールや手紙で支えられている。

 そんな支えがあるから今の「ボク」は存在していると思う。

 Iさんの意外?!な一面を知ることが出来、とても嬉しく、より身近な存在に感じた。

 宇部市のK・Iさん、温かいメール、本当にありがとうございました!

9月2日(土)

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 足に悩みを持ってやって来られるのは、足に痛みや変形がある方だけではない。

 足の大きさもその1つ。
 女性でも、(足長が)20センチの人もいたら25センチの人もいる。
 サイズに困っている人のほうがオシャレに靴を履きたいっていう思いは強い。というのも通常靴屋の場合、需要のあるサイズは色んなデザインがあったりするんだけど、需要のないサイズはあまり在庫を抱えても効率が悪く、必然的に無難なデザインや形の靴を在庫として置いている。だから足の大きさが大きかったり小さかったりすると、なかなか「履きたい!」って思う靴に出会えないわけ。

 靴が好きだから、やっぱりなんとかしてあげたいって思う。

 ボクも学生時代は、お金はないんだけど多少値が張っても良い靴を捜し求めてた頃を思い出す。

 山口市のE・Fさん、本当に嬉しそうだった。
 ついに就職先も決まり、来年からは社会人の仲間入り!

 
 これからも頑張ってね。
 

 追伸  
 先程(23時過ぎに)お客様からのメールで初めて知ったんだけど、

 今日は「靴の日」ということです!

 東京都のM・Aさん、わざわざありがとう~!

8月25日(金)

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 「家に来て欲しい。」そう頼まれたことがある。

 お客様のワガママで、ではない。
 理由はひとつ、「ムッシー」に来ることが出来ないから。

 電車やバス、それからタクシーですら乗り降りが難しく、家の中で歩くことすら儘(まま)ならず、近くに身内の方がいないということもあり、車でもお立ち寄りいただけなかった、、、それでも


 歩きたい


 その思いに応えたい一心で、十数キロ離れたご自宅まで自転車を漕いで駆けつけた日のこと、今でもしっかり覚えている。

 あれから約1年、今回は御家族の助けもあって、ついに「ムッシー」へ!そして2足目を。
 店内を、杖を突きながらも歩いている横顔をそばで見ていると、ボクも自(おの)ずと元気が出てくる。

 山口市のI・Sさんのように、「歩きたい!」と、強く願う人がいると、ジッとしていられない自分がいる。ボクの体はひとつだから、あんまり融通は効かないけど、これからも悩んでいる人の力になれるよう、常に歩み寄っていきたい。

 そして先日、そんな電話がまたあった。
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